消臭、調湿機能の優れた塗り壁であるシラス壁の採掘場を見学に宮崎県都城市へ向かった。都城市は宮崎県南部に位置し、桜島を囲む姶良カルデラの噴火によって堆積したシラス地層が分厚いところでは150mにも及ぶという。

マグマの天然素材であるシラスは、サラサラとした形状で水持ちが悪いため、田んぼには不向きであるが、その吸湿、吸着力から現代は天然素材の壁としての利用が注目されて来た素材。実際に採掘場を訪れると、一面に白い壁が広がる。岩壁にみえるそれに触れると、砂のように手に馴染む不思議な感覚である。

ここで天然シラスを採掘し、広大なハウスの様な施設の中で、乾燥させながら粒子を細かく引き砕く作業が行われていた。一定の大きさの粒になるまで丁寧に砕く作業は、気の遠くなる様な仕事ではあるが、こうやって自然の恵みを製品に変えているのだと実感出来た。

古代ローマの建築物にも同じ様な火山噴出のコンクリートを多用しているらしい。天然資源であるシラスに独自の技術を用いて塗り壁健在にする過程までを見学し、人に優しく環境にも優しいその素材は、長い歴史をとおして、人が自然と共に行きていく中で生まれた素材である事を強く感じた。