木枯らし1号が吹き、いよいよ冬に向かって進む秋空のなか、長年のお付き合いのある施主様の屋根替えを行っています。

今回は土葺きという屋根の上に土を引き、その上に瓦を並べていく工法から、引掛け桟瓦葺き工法への変更です。

土葺きは、土の断熱性と屋根自体を重くすることで、台風時の影響を最小限に抑えることができますが、土の劣化による断熱性能が下がることも指摘されています。

また阪神大震災に土葺きの重い屋根と、瓦を固定しないその工法の弱みが露出して、倒壊の危険性が指摘されたため、現在では軽くすることが主流になっています。

 先代からの長いおつきあいをさせていただいているこの物件でも、まずは丁寧に土を落としていきます。と同時に屋根に構造用合板をきっちり敷き詰め、屋根全体での剛性を高めます。この工法だと垂木などを触らず、上面だけの工事で済むのも利点であります。

関東だけでなく、熊本や最近では鳥取でも大きな地震が起きています。私たち建築に関わるものとして、生活を良くする建築であると同時に、大切な命を守れる建築を進めていくことが重要だと考えています。