新たな生活の
始まりのヒアリング

朝夕の冷え込みを感じるようになってきました。里山住宅のモデルルームもひんやりした空気で気持ちいい朝を迎えています。

この日は里山住宅モデルにて、これから新築住宅を建てられる最初のヒアリング。

何度もお会いして完成見学会や里山住宅モデルをみて弊社に決めていただきました。

建築予定地も決定し、最初の打ち合わせ。

これからの建築に当たって、建物全体の予算や借入の予算などを漏れがないように伺っていきます。建物を含む設備などのハードの話は当然伺うのですが、「どのように暮らしていくか」が重要だと感じています。

今の趣味の話、これからしたいと思っている趣味の話。

今乗っている車や今後乗るであろうお子さんの自転車や遊び道具置きの場所の確保。

休みの日の過ごし方や、子育ての方針なんかも話しますが、お子様の名前の由来や子供の頃の思い出など、一見世間話のように思えるような話の中に本当に「暮らしたい形」がおぼろげながら見えてくるように思います。

施主様からのご要望、そして建築を生業としてきて「リクエストのその向こうの意図」を汲み取ることを考えながら丁寧に時間をかけたいと思っています。


地元に根付く施設のために

すっかり秋らしい空気の中、地元である神戸市北区にある神戸フルーツ・フラワーパークに開業する「道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク 大沢(おおぞう) 」の基礎工事を進めています。

季節の花や果実を楽しめるこの施設に、地元野菜等の販売や食を楽しめる施設のオープニングに向けての工事を受けております。工事現場のバリケードには大沢小学校の児童に大沢をテーマに絵を書いて展示し施設を訪れる観光客との目隠しに採用し、地に根を張った施設を作ることを意識しています。

現在は施設のための基礎工事。建物を支える大切な基礎であるからこそ、しっかり人の手を入れていく必要があります。

地面に格子状に配筋をした上に、その鉄筋を一つ一つ職人の手で結束していきます。その作業は、数千箇所を超えます。

地面から立ち上げた腰壁への配筋は「かぶり」を意識しながらも、スピーディに。

「かぶり厚さ」とは、コンクリートの表面から鉄筋の表面までの距離をいいます。

鉄筋コンクリートは
コンクリートのアルカリ性によって鉄筋が錆びるのを防いでいます。

しかし、コンクリートが中性化したり、
ひび割れなどから水分が入り込むと錆びてしまうため、
充分なかぶり厚さを確保しないと、設計通りの強度を得られません。

見えない部分ではあるものの、これからの施設のために一つ一つ、手で測りながら基礎を作っていきます。

この施設が住民の集まる施設になることを意識しながら、しっかりとしあげていきます。

 


用途と仕上がりを考えた手間

秋らしい柔らかな日差しが現場にも差し込んできています。秋の訪れとともに現場も仕上げ工事にはいっております。

室内には多くの木部が存在します。それは自然の風合いや、耐久性、加工性など様々な理由で採用されます。

たとえば、壁の床との接点にある巾木や、建具枠など耐久性が求められつつも、木部の存在感をできるだけ消したい部分などがあります。

そこには耐久性を配慮したウレタン塗装を、下塗りの後、上塗りを2回塗り重ねます。

それは磨耗性を上げるためでもありますが、ムラのある木部の吸い込みなどを計算して、できるだけ壁の風合いに近いツヤを消した自然な色に仕上げるためでもあります。

粘度の高い塗料を塗装し、施工回数を減らすと工程は減りますが、ボテっとした風合いになり、逆に壁より目立ってしまうことがあるため、壁に馴染む粘度で、何度にもわたって自然に塗装します。

 

また人が触れやすいところや、木の風合いを活かしたい部位は、ドイツの自然塗料OSMO COLOR(オスモ カラー)を採用しています。

オスモカラーはひまわり油、大豆油、アザミ油、そしてカルナバワックス、カンデリラワックスといった自然の植物油と植物ワックスからできた人体、動植物に安全な塗料で、食品と同じレベルの安全性があります。

これも格子組みなど、のちに塗りづらい部分は、先に下塗りや木口などの吸い込みの違う部分を重点的に塗装していきます。

 

自然素材を使用して、自然に見える空間を作るために、用途に応じて見えない手間を重ねていくことで、これからつながる生活を彩る場所となると信じて手間をかけていきます。


無垢材のフローリングを貼る前に重要な工程

朝夕はめっきり涼しくなってきました。爽やかな秋を迎えて現場も元気に動いております。

最近の住宅の床はフローリングがほとんどになってきました。それも木の風合いを愉しめる無垢材のフローリングが人気で、私たちも自然の足触りを体感してもらうためにオススメしております。

しかし、自然素材は工業製品のようにはいきません。実際のフローリングの幅はきちっと90mmと製品として揃っているのですが、実際に並べてみると少し誤差が出るのです。

それも試しに並べて置いてみてみると、10枚並べて1mmの誤差しかありませんが、実際に貼ってみるとふくらみなどから3mm違うこともあります。

ですので、無垢材のフローリングを貼るのには、まずフローリングの割り付けが重要な工程なのです。

この割り付けは、フローリングのふくらみを計算に入れて、0.1mmまで計算して墨をつけていきます。

部屋と部屋の敷居がない場合などは、すべての部屋から計算して、端に半端が入らないように計算を重ねていきます。

図面上では90mm、現場ではその誤差を考えて0.1mmの攻防が、自然な風合いの床を作り上げるのです。


デザイン事務所で建築のはなし

秋雨の合間、爽やかな月光の中、様々な業界や職種が集まる交流会に参加してきました。

この交流会は弊社のデザイン担当でもある株式会社SASI DESIGN運営のカフェで毎月行われていて、今回は弊社の考える建築についてプレゼンテーションを行ってきました。

所在地の宝塚はもとより、淡路島や丹波、西宮や大阪など様々な地域から、パン屋さんや美容師さん、食品加工業、庭師、建築を学ぶ学生などが参加されています。

その中で私の考える建築は数値で測るようなものではなく、目には見えない『心地』をつくる。そのために素材や職人の声を聞きながら、呼応するようなsessionしながら進めていくという話をさせていただきました。

昨年施工いただいた施主様のご家族もお越しいただき、また里山住宅博の仲間も参加してくれ、普段あえて触れないような、建築の根本のような話を飲みながら進めることができていい夜となりました。

建築とは人が作るもの。このような有機的なつがなりが、心地よい場を作り上げていくのだなと改めて実感しました。


10月里山イベント情報

10月イベント

●多肉植物寄せ植えワークショップ
1016()
1100
1400
費用 3500
参加方法:ご予約・お問い合わせください。
      TEL078-986-5348
参加資格:なし
定員:各回45
 
 
●皮コインケースワークショップ
1016()
1300
費用:2000
参加方法:ご予約・お問い合わせください。
      TEL078-986-5348
定員:各回45
 
どちらのワークショップも27号地あかい工房モデルハウスにて開催です。
 

一期一会

あかい工房のモデルハウスで、お月見茶会。

こんな空間を造ったら楽しいだろうな?そんな自分自身が楽しむことできたら、きっとお客様も喜んでいただけると信じて。

バルコニーの先に渡り廊下を造り、竹と藁で壁を造り、その中に満月を見立て、雨が降った場合も大丈夫な屋根付きで・・・と

図面もない依頼に大工さん、くさかんむりさんに一期一会の茶席を造っていただきました。

見事に壁に満月が浮かび上がり、里山にあるススキを後ろに飾るとさらに風情のある空間に生まれ変わりました。

茶の湯に大切なものは何かと聞かれた時に、利休はこう答えたようです。

「茶は服のよきように点て/炭はお湯が沸くように置き/花は野にあるように生け/夏は涼しく冬は暖かに/刻限は早めに/降らずとも雨の用意/相客に心せよ」

どれも当たり前の言葉ですが、お互いに気を配り尊重しあう「おもてなし」の心です。

この日のために準備いただいた茶道の先生、社中の皆さま、くさかんむりさん、大工さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

予報どおりの雨の中、皆さまには竹をたたく雨音も心地いい音色となり少し早い秋を感じていただけたのではないでしょうか。


地元企業としてのまちづくり参画

朝夕が涼しく透き通る空気の中、来春に神戸市北区にあるフルーツフラワーパーク内に道の駅「ファームサーカス」の地鎮祭が粛々と執り行われました。

当施設は、約600平方メートルの施設3棟が建ちならび、近隣農家の野菜、米、精肉、地酒などの直売所や、地元食材を活かしたフードコートやレストラン、一息つける足湯、また地域の人々との共同イベントなども開催される賑わいを創出するまちづくりプロジェクトの中核となります。

施設の運営を北区の会社「北神地域振興様」が行い、地域の未来をつくる為に地元民が手を上げてプロジェクトが始動します。

あかい工房も同じ北区、地元の企業として施工に携われることができ、プロジェクトの想いに一層力が入ります。

午前中は雨に見舞われましたが、地鎮祭が始まる頃には青空も見えていました。

天からの恵みである雨によって土地が祓い清められ、これから始まる地域の未来に潤いがあるよいスタートとなりました。


淡路島を対峙した地鎮祭

9月に入り少し秋の風を感じる今日は、垂水で地鎮祭を行いました。

地鎮祭が行われたこちらの場所は、瀬戸内海をすぐそばに臨み、明石海峡大橋そして淡路島が近くに感じることができます。

目の前に見える淡路島はその昔、国土創生の神、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)が最初にお生みになられたという「淡路島は国産み神話の島」と言われています。

そして、海を挟んでこの垂水のこの場所も、神聖な場所であるとあるとともに、これから営まれる新たな生活をしっかりと支えてくれる力強さを感じます。

私は神社仏閣によくお参りに行きます。

お願いに参るのではなく、今あることを報告や決意や信念を伝えに行きます。

心身ともに健全で、しっかりと対峙できることが前提です。

今回の地鎮祭も爽やかな風の中、よい天候に恵まれました。

施主様の引き締まった表情、我々の建築への思いもともに、晴れ渡る秋空と目の前に臨む雄大な景色に負けない、こらからずっとつづく暮らしをつくる建築をともに作りたいという思いを一つにすることができました。