瓦屋を経営されている施主のF様は、ご夫婦ふたりの終の棲家を、ご自身で瓦を葺く最後の仕事とされました。
「木造の家には瓦が絶対に合う」と、自宅は木造の瓦屋根にこだわりたかったというF様。マンションから一戸建てへの住み替えを検討されているタイミングで、以前西宮神社での仕事に一緒に携わったあかい工房にご相談いただきました。
家づくりのテーマは「長年苦労をかけてきた奥様のための家」で、瓦以外については奥様にお任せ。打ち合わせやプランニングは奥様主導で進みました。あかい工房と同じ建築に関わる同業者としての経験を持つF様と、直感重視で即決型の奥様。お二人の家づくりを振り返ります。
夫婦の終の棲家
何年か前から、マンションから一戸建てに移りたいとご夫婦で話されていたF様ご夫婦。具体的に家づくりに向けて動くきっかけになったのは、土地との出会いでした。お仕事で屋根修理をしたお客様からの紹介で、偶然ご希望のエリアに土地を見つけられました。
どこの工務店で家を建てよう、と二人で考えていたとき、一緒に仕事をしたことがあるあかい工房の名前がふと浮かび、その場で相談の電話を入れてくださったそうです。
インタビューでお話を聞いたとき、「いい家建てはる」工務店と語ってくださったのが嬉しく、印象に残っています。
かけひきが嫌いで気に入ったらすべてお任せしたいタイプという奥様は、他の工務店の情報収集もされなかったとのこと。最終的にさとやまの家モデルハウスを見た帰り道に、あかい工房と家を建てることを決めてくださったそうです。
奥様主導での家づくり
「よその家は見てない。自分たちが楽しめて、楽に過ごせるということだけを考えた。自分たちが歳をとっても住みやすい、ゆったり楽ができる家が欲しかった。」
商売柄いろんな家を見てこられたF様と奥様ですが、意外にもあかい工房と家づくりをはじめるまでは、具体的なイメージをお持ちではなかったそうです。ほかの工務店に相談したり、モデルハウスを見に行ったりもほとんどされていませんでした。さとやまの家に来られてから約2年をかけて打ち合わせを重ねながら、だんだんとおふたりの理想の家を形にしていきました。
例えば暖炉には、薪を用意しなくても火を楽しみながら暖をとれるバイオエタノール暖炉を採用。「暖炉は欲しいけど、管理が大変。バイオエタノール暖炉は面倒くさがりにはぴったりの優雅さ」とF様ご夫婦は表現されました。炎のゆらぎをみながら鍋をするなど、暖炉のある生活を愉しまれているそうです。
あかい工房との家づくりについてF様は、「いろんなことを教えてもらったり、こういうのはどう、と簡単に出してくれる。それがぴったり合う。自分の想像している以上のものを提案してくれた。」と言ってくださいました。
あかい工房からの提案に対して、直感でパッ、パッ、と答えを出していかれる奥様。家づくりの打ち合わせはリズムよく進んでいきました。私たちあかい工房を信じて頂けたからこそ、研ぎ澄ました提案をしないといけないというプレッシャーも感じながら、家の設計を固めていきました。
❶瓦屋根
瓦を大胆に見せた、広い屋根が特徴の家。鬼瓦は瓦屋であるF様のオリジナルです。吹き抜けの室内から天井を見上げると、屋根の斜めのラインがのびやかな空間を演出しています。リビングに光が入るように屋根の一部にガラス瓦を使用。
❷ウッドデッキのベランダ
ベランダのウッドデッキ入口にある大きな窓。サッシをすべて壁の中に収納することで、窓が全開に。ベランダ自体が外に張り出しているため、より開放的な景色が楽しめます。気持ちよく視界が開け、遠くには大阪湾も。
❸吹き抜け/室内空間
空間をゆったりぜいたくに使った吹き抜け。普段は夫婦ふたりでゆったりと過ごせ、時には10人以上の大家族が集まって寝泊りすることもあるそうです。
❹採光窓
隣家と接する両サイドの窓は、目線が気にならないように高めに配置。
❺ドア
取っ手がないドア。小さい子でも開け閉めでき、手あかがつく場所が偏りません。建具職人さんが作った造作建具です。
❻テレビ台
浮いているように見えるテレビ台。壁に固定されており、床との間にはロボット掃除機が入る隙間を確保しています。
❼造作家具
施主様の希望で、現場でつくった仕事机と棚。
❽キッチン
タイルと収納にこだわったキッチン。調理スペースが広々ととれる、カウンターキッチンです。
❾外構
外階段、玄関、門柱。随所に瓦屋であるF様が用意された瓦を使っています。玄関の床も、実はタイルではなく瓦張り。植木や芝の種類も、あかい工房と施主様で一緒にひとつひとつ選んだものです。