土佐研修旅行、1日目の後半は

「田中石灰工業株式会社」の見学です。

 

高知県を代表する天然素材の一つに、

土佐漆喰があります。

 

石灰石を焼成して作られる消石灰を主原料にし、海藻のりなどを加え、水で練ることで出来上がる漆喰。

この一般的な工法の漆喰と土佐漆喰とでは異なる点がいくつかあります。

 

土佐漆喰の特徴としては、土佐産の純度が高い真っ白な石灰石使うこと、

一般的な焼成方法である重油焼成ではなく、特有の徳利型土中竃を使い、

石灰石とコークスを交互に投入し、少量の塩を添加しながら焼成された消石灰が主原料になっていること、

一般的な漆喰に使われる海藻のりなどは使用せずに、1か月以上発酵させた藁をスサにしていることなどが挙げられます。

 

こちらの田中石灰工業株式会社では、徳利型土中竃を用いた伝統的な工法で、塩焼き消石灰を作る様子を見せて頂きました。

 

この工法で製造した石灰は、国宝・重要文化財の建築等にはなくてはならない原材料となっており、姫路城の改修にも使われています。

のりを使わないため高い耐水性を持ち、屋外に使用しても剥がれ落ちる心配がない、大変優秀な素材という評価を得ています。

 

左官職人が現場で水練りする「土佐しっくいたなか壁」やDIYでも塗れるほどに施工性が高い生石灰クリームの「タナクリーム」。

これらの魅力的な壁材は、施工してきたいくつかの建物にも使用しています。

 

地球からの大切な贈り物である石灰石を原料に、伝統的な製法でゆっくりと時間をかけて焼成された消石灰。

今回、この塩焼き消石灰の出来る工程を見学させて頂き、職人さんたちの自然への尊敬の念と深い愛情とを感じることができました。

 

土佐の自然や伝統が生み出したエネルギーやパワーを、目で、肌で、香りで、音で、心で感じたこの日。

夕食会では、土佐の美味しさを満喫し、1日目を終えました。

つづく