明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。

本年も施主様やチームあかい、職人、設計者、また素材や空間が呼応し合う様な『場の建築』をご提供する為に邁進致します。

本年もどうぞよろしくお願いします。


「場」の引渡し

2015年も何とか無事に仕事納めが出来そうです。師走のこの時期に2件の引渡しが出来ました。

一件は宮崎までご家族と一緒に木材の伐採、製材を見学に同行させていただいた宝塚の家。そしてもう一つが土間にキッチンと暖炉のある北区の家。引渡しとして、新しい家の設備の使い方、メンテナンスの仕方等をお伝えさせていただきます。

工事は終わって家が建ちましたが、これで終わりではなく、ここからが暮らしを作っていくスタートです。宮崎で育ったあの木が家になり、そしてこれからお客様の暮らしになっていきます。引渡しはバトンを渡す様な気持ち。そしてこれから伴走していく想いが強まります。

今年も様々な「引渡し」をさせていただきました。工事をさせていただいているときだけが「現場」ではなく、引渡しの後がくらしの「場」になります。

2016年もしっかりと施主様やあかい工房、チームあかいや設計者等がsessionして、気持ちが高揚したり、安らいだりする『場』を建築していきたいと思います。

今年も一年お世話になりありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。


現場打ち合せ

師走の寒さも厳しくなり、赤く実った柿もそろそろ終わり。リフォーム現場も佳境を迎えています。離れの大規模な改修がほぼ終わり、後は内装を残すのみ。そして母屋との接合部を快適にする為に、既存部分を補修しながら、違和感の無いように慎重に進めます。

建築当時のままであった部分は、下地のレンガが顔を覗かせたり、柱も腐食した部分もめくってみると出てきます。ここは今井が現場のチームと打ち合せを重ね、抜くべき柱とそれを補う構造を考え抜きます。古い物を活かしながら、新しい快適性を兼ね備えた住まいを作るには、現場での話し合いが一番重要だといつも感じさせられます。

自然とそこにある。それを作るために打ち合せを重ねます。


冬支度

師走に入り、バタバタと走り回っている間に来年もすぐそこに。今年は暖かいとは言うものの、朝夕の冷え込みは冬そのものになってきました。

今年から新たな暖房機器として、ペレットストーブを導入した。弊社はかや葺きの古民家を改装して事務所にしている事もあり、薪ストーブのように屋根上までの煙突を出すのが容易ではない。それに比べてこのペレットストーブは、軒に排気ダクトを解放するだけで充分。

また、燃料であるペレットは、先日結婚式を挙げたばかりの相良に選ばせる事にしました。まだ20代と若い相良にとって、環境と健康は関心が高い分野でもあり、様々なペレットを探したようです。まわりまわって、京都のペレットに落ち着いた理由を聞くと、安価なペレットは輸入製品が多いらしく、中にはセシウムなどの有害物質をふくむ物もあるよう。

そこで京都も近い事だし、安心安全の国産材で、価格も石油ストーブをつけているのと変わらない程度のペレットを選ぶ事に。

石油等の枯渇燃料ではなく循環型燃料を使用しながら、人間らしい炎を見て暮らす事の出来る選択の出来る技術の進歩に関心をしながら、揺れる火にまた手を当てている。


里山住宅博

皆様に新たなあかい工房の「場」を体験していただこうと、仕込みをはじめています。弊社は茅葺きの古民家を再生させ、事務所として使用しております。

茅葺きを始めとする古民家再生も得意ではありますが、この度あかい工房の建築を居心地のいい理想の住まいとして体感していただこうと、来年4月に開催される「里山住宅博in神戸」に出展する事としました。

住宅博では神戸市北区において、豊かな自然環境を背景に全戸里山付きの住宅を、地元の工務店が様々な形で提案します。

あかい工房としても、私たちの考える「場」づくりをお披露目します。今回は福永洋一建築設計事務所とsessionし、基本性能やかゆいところに手が届く利便性は抑えながらも、無意識に心地よい空間を目指します。

対峙する山やひろがる空、通り抜ける風と一体となり、素材やそこに住まう人、集う人が呼応し合う様な、まさに里山笑う「場」を実現させます。どうぞご期待下さい。


引越後の訪問

上棟式に棟木をご自身で納めていただいてから半年が経ち、お客様がご入居されました。そのお祝いも含めて、お引越し後に訪問に行って参りました。
「まだ自分の家の様な感じではない」と笑いながらも、「このソファーに寝そべって庭を眺めているとリラックスする。」とご主人。奥様も「お風呂が一番気に入ってます。ホテルに来たみたい。」とお気に入りのスキンケアを愛用しながら、新居を楽しんでいただいている様子。
基本的な設備やメンテナンスの事を説明しながら、雑談を少々。話は脱線を繰り返しながらも、工事中には話せない様な、細かな家具の納まりの話にまで及びます。
モダンな住宅には余分な線がいらないもの。その「いらない線」を消す為に、家具の扉を斜めにカットし、表から扉の厚みが出ないようにこちらで工夫した事を伝える。「そんなの言われないと気づかなかった!」と大笑い。
そんな工夫はお客様には関係ない事かも知れませんが、お客様の無意識に存在する心地よさを建築として作り上げたい。そんな想いで建築を進めています。


リフォーム現場確認

深い庇をもつ立派な母屋の隣にある離れに当たる部分の全面リフォーム工事。

母屋の漆喰にも合う様に、外壁を珪藻土にて施行予定。2階に大きなベランダがあるためにサッシが取り付いたタイミングで現場確認。当然、念には念を入れて防水工事をしていますが、サッシの納まり方でその防水も意味がなくなる事もあります。

庇はあるものの、今日のゲリラ豪雨を考えると、ドアサッシが全面に濡れてしまう事も想定しておかなければなりません。

現場にて施工を担当している大工と、納まりの確認。この段階で水をかけて、どこからも水が漏れていない事を確認する事も大切になってきます。

現場での大工との打合せが非常に大切であり、ここにこそ建築の肝があると考えています。


瓦吹き替え

三田市にある光明寺の庚申堂の瓦の吹き替え工事を行っています。その屋根には立派な鬼瓦がありましたが、年月が経ち老朽化も目立つ事から、鬼瓦も新調し吹き替えております。

今回は職人が瓦を一枚一枚、一人で納めていっています。規模もちょうどいい事もさることながら、こういったデリケートな現場では、複数人ですすめるとどうしても少しのズレが出来てしまいます。また、戸建てでは扱う事のない様な貴重な瓦を納めるということで、他の誰にも触らせたくないという職人魂で今回は進めてくれています。その職人のリズムと絶妙な手の動きにより、一人でズレなく進めています。

住職も現場の様子を見に来ていただき、新旧の鬼瓦を見比べていただきました。新しい鬼瓦は、以前の鬼瓦を元にしながらも、にらみをしっかりとデザインしております。夏に鬼師の元にその製作現場を見学に行った、その製作背景をお話し、その出来映えや職人の気持ちに触れ、満足いただけている様子。

以前の鬼瓦は、住職も幼く記憶が無い様な遠い昔の事。今回の吹き替えでは、これからも続いていく寺の未来に向けての足跡を刻んでいきたいと鬼瓦に年月を彫り込みました。


朝の風景

夜明け前、和室にある神棚に手を合わせて、一日の無事を祈るのが日課。

時間になるとチームあかいのメンバーが集まり出す。早いときはまだ暗闇が残る時間から、今日の仕事の段取りと現場の仕舞の確認。棟梁がipadで撮影して来た現場写真を見ながら、皆で情報を共有する。

それは朝礼でもないのですが、私はこの時間に仕事の段取りとその報告、またメンバーの機微を見ながら、指摘と管理をする事から一日が始まる。

現場は生の人間が作り出すsession。その日の体調や気分が現場に影響しないように監督する事も大切な私の仕事だと思って、毎朝気持ちを引き締めてチームを送りだします。今日もいい現場になりますように。


シラス壁の見学

消臭、調湿機能の優れた塗り壁であるシラス壁の採掘場を見学に宮崎県都城市へ向かった。都城市は宮崎県南部に位置し、桜島を囲む姶良カルデラの噴火によって堆積したシラス地層が分厚いところでは150mにも及ぶという。

マグマの天然素材であるシラスは、サラサラとした形状で水持ちが悪いため、田んぼには不向きであるが、その吸湿、吸着力から現代は天然素材の壁としての利用が注目されて来た素材。実際に採掘場を訪れると、一面に白い壁が広がる。岩壁にみえるそれに触れると、砂のように手に馴染む不思議な感覚である。

ここで天然シラスを採掘し、広大なハウスの様な施設の中で、乾燥させながら粒子を細かく引き砕く作業が行われていた。一定の大きさの粒になるまで丁寧に砕く作業は、気の遠くなる様な仕事ではあるが、こうやって自然の恵みを製品に変えているのだと実感出来た。

古代ローマの建築物にも同じ様な火山噴出のコンクリートを多用しているらしい。天然資源であるシラスに独自の技術を用いて塗り壁健在にする過程までを見学し、人に優しく環境にも優しいその素材は、長い歴史をとおして、人が自然と共に行きていく中で生まれた素材である事を強く感じた。


伐採場の施主見学

宮崎県の木材で上棟を控えた施主様と一緒に、宮崎の製材所へ。

製材所の製造工程を確認した後に、実際に木材が切り出されている伐採現場へ。その前に、林業をも営む製材所の方に、山をどう整備するかを説明してもらう。山をしっかり整備し、計画伐採する事で山を守る。そして、しいては地崩れ等災害をも防ぐ事にもなり得る。その事を施主様にもお伝えし、子供の頃から体験してもらう事は意義のある事だと考えています。

雨の振る霞がかった山道を進み、伐採現場へ。広大な山に普通自動車でも通れる道をしっかりと整備している。聞くと、搬出の事だけを考えるのではなく、緊急時に救急車両も通れる為に整備するという。

林業従事者の環境も踏まえた山づくりに感銘を受けると同時に、この豊かな山から木が家としてずっと使われていくその物語を紡げる事に喜びを感じた。


施主様と製材所見学

秋に上棟を宝塚にて行う予定のお施主様と共に、その住宅に使われる木材の産地と製材の過程を確認する為に、宮崎県都城市へ。

都城市は木造の船の材料である弁甲材として使用されて来た飫肥杉(おびすぎ)と呼ばれる、銘木の産地である。

その肥沃な黒土と豊富な降水量が油分が多く、虫がつきにくく、よく成長した木材を育てるという。

お施主様はお母様とお三人のお子様と共に来られた。雨の振る中、製材所を早速見学する。自分の家に使われる柱や梁がどうやって出来ていくのかを、お施主様に実際に見てもらうのは、単なる愛着を超えた木そのものの「物語」を体感してもらうには一番だと思っています。

子供の目に映る我が柱になるその木は、何十年と成長し、またその子供と共に成長していく。そういう体験をしてもらう事を大切にしたいと思っています。